外陰部の脱毛
月経時に外陰部がムレたり、かぶれたりして不快な思いを繰り返している方や、付着した血液が陰毛に固着してしまい取り除くことを煩わしく感じている方、あるいは、性交時に陰毛が膣内に巻き込まれて、痛みを感じたり、外陰部に傷ができたり、あるいは、性感が損なわれて性交渉を楽しめないなど、セックスに不満や不便をお感じの方、外陰部の脱毛がお勧めです。
当院の脱毛方法について
現在、医療機関で行われている脱毛の方法としては、レーザー脱毛、光脱毛、高周波脱毛等があります。効果の点からはレーザー脱毛が基本ですが、これならば完璧、という方法はなく、レーザー脱毛と光脱毛等を組み合わせた機器等も含めて、より有効な方法を探りつつ、より患者さんに適した方法を用い得るように、各医療機関で努力していることが現状でしょう。
特に、外陰部の、Iライン、Oラインと呼ばれる部位については、毛根が深く、皮膚の色素沈着が強い場所であるため、黄色人種である日本人の場合には、最良の方法が見出せない状態でした。しかも、経験的に、全身の中では痛みを一番強く訴える患者さんが多い場所でもあり、レーザー脱毛をためらう方も少なくありませんでした。
レーザー脱毛の機器は、使用しているレーザーによって、ロングパルスアレキサンドライトレーザー、ロングパルスダイオードレーザー、そして、ロングパルスヤグレーザーの3種類に分けられます。毛根に直接ダメージを与え得る点からは、前2者がやや優れていると考えます。しかし、皮下組織への深達距離が浅いため、陰毛の場合には毛根まで到達し難い、という短所があります。しかも、レーザーの出力を増してより深い部分への効果を得ようとすると、これら2者のレーザーは皮膚表面のメラニン色素に強く作用する特性があって、表面の皮膚にやけどが生じる危険をさらに高めてしまうため、出力を強くして対応することもできないという欠点があります。これらに対して、ロングパルスヤグレーザーは、毛根への直接作用は比較的弱いものの、毛根の周囲へ作用して同様の効果を得るもので、何より深達距離が深く、しかも、表面のメラニン色素への作用が格段に弱いため、皮膚表面のやけどなどの合併症状が極めて僅かで済むという、外陰部の脱毛を行う上では、非常に有難い利点があります。ここ数年の間に、各社が最新のロングパルスヤグレーザー機器を開発した結果、照射野の広い高出力のロングパルスヤグレーザーを使用することができるようになりました。
一方、痛みを避ける方法としては、鎮痛作用のあるゼリーを塗布したり、照射部位を吸引したり冷却したりするなどの方法があります。レーザー機器付属の冷却装置で冷却する方法により、ある程度は痛みを抑えることが可能ですので、これだけで痛みを我慢できる方は、脱毛処置を手軽に安価で受けることが可能です。
しかし、痛みの感じ方に関しては個人差が大きく、特に外陰部の場合は、強い痛みを訴える方が少なくありません。より確かに痛みを抑えるために、麻酔を併用してレーザー照射を行う方法があります。外来で短時間にレーザー照射を行う際に便利な方法として、最近では、超短時間作用の静脈麻酔薬が使われるようになりました。ある程度の時間は必要ですが、痛みを避けたい方には、とても役に立つ方法です。とはいっても、麻酔と脱毛を行う上で必要とする在院時間が数時間ほどは必要になるため、1日に実施し得る人数が限られることから費用はかかりますが、痛みを避けたいという希望の強い方にはお勧めです。さらに、陰部神経麻酔という、外陰部のみを注射で麻酔する方法があります。外陰部の痛みを脳へ伝える神経経路に局所麻酔薬を注入することで痛みを軽減させる麻酔で、左右の膣壁へ注射をそれぞれ行います。外陰部のうち、背側(肛門側)の痛みは、かなり軽減させることが可能です。麻酔の注射自体の痛みについては、腕から採血する際の痛みよりも痛くない、と表現される方が多いようです。この陰部神経麻酔は、日本では、吸引分娩や鉗子分娩を行う際に産婦人科医が行う麻酔方法ですが、ヨーロッパ、特に、ドイツでは、正常分娩でも多用され、赤ちゃんが生まれる際の外陰部の痛みを和らげるだけでなく、生まれた後に生じた膣口の傷を縫合する際などにも、強い痛みを感じることなく処置を受けることができる便利な麻酔です。残念ながら、この麻酔方法に習熟した医師は、産婦人科医の一部に限られているようで、日本では、外陰部の脱毛に陰部神経麻酔を用いている施設はまれのようです。
以上より、当院では、ジェントルヤグというロングパルスヤグレーザーの最新機種を導入し、外陰部(Iライン、Oライン)に限定した医療レーザー脱毛を行っています。レーザー機器付属の冷却装置で、ある程度の和痛効果を得ることも可能ですし、希望により、静脈麻酔併用、陰部神経麻酔併用で行うことも可能です。また、産婦人科の専門の内診台で行うため、無理のない姿勢で受けることができ、スクリーンカーテンの使用によって恥ずかしさを最小に抑えることもできます。
処置に必要な時間は、レーザー照射を受けた回数が増すにつれ短くなることが通常です。また、照射を受ける間隔や回数は、おおむね1か月の期間をおいて5回から10回程度、6、7回の方が多いと考えてください。
脱毛通院の流れ
初回受診時
通常の診察時間に保険証等をご持参の上、ご来院ください。予約は不要です。外陰部の症状、合併症の有無、薬剤アレルギー等の有無などをお尋ねし、当院での脱毛の流れをご説明いたします。その他の治療や検査、投薬等がなければ、費用は千円以内です。
尚、当院は、婦人科専門の医師が、外陰部(Iライン、Oライン)に限定した医療レーザー脱毛を行っております。他の部位をご希望の方につきましては、原則的には、他施設をご紹介いたします。
試し照射
既に受診して、説明を聞いて理解された方を対象とします。あらかじめ予約をして来院していただきます。
脱毛の範囲について打ち合わせを行った後、その範囲の中の一部(直径2cm程度を数か所)を剃毛し、試験的にレーザー照射を数箇所に行います。費用は2,000円(消費税別)です。照射後、脱毛に必要な書類についてご説明し、お持ち帰りいただきます。
試し照射後の再診
試し照射の後、10日間ほどおいてから、その効果や痛みの程度、やけどなどの合併症がないことを確認するための来院をお願いします。予約は不要です。通常の診察時間にご来院ください。その他の治療や検査、投薬等がなければ、費用は千円以内です。この際に、当院で脱毛を受けるかどうか、麻酔を併用するかどうか、および、脱毛の範囲についての打ち合わせを行います。麻酔の併用を希望される方には、血液検査を併せて行います。血液検査の費用は9,000円(消費税別)です。そして、照射前の剃毛の日時と照射毛1回目の日時の予約を行います。
1回目剃毛
試し照射を終えた方が対象です。あらかじめ予約をして来院していただきます。照射を行う5日前から2日前の間に剃毛をすることを原則といたします。費用は2,000円(消費税別)です。可能であれば、ご自身で剃毛していただいても構いません。
1回目照射
1回目剃毛を終えた方が対象です。あらかじめ予約をして来院していただきます。
麻酔を併用するかどうか、および、脱毛の範囲について最終の確認を行った後、希望に変わりがなければ、対象範囲全体にレーザー照射を行います。費用は14,000円(消費税別)です。静脈麻酔や陰部神経麻酔を希望される場合の追加費用はそれぞれ34,000円(消費税別)、8,000円(消費税別)です。
1回目照射後の再診
1回目照射の後、10日間ほどおいてから、その効果や痛みの程度、やけどなどの合併症がないことを確認するための来院をお願いします。予約は不要です。通常の診察時間にご来院ください。その他の治療や検査、投薬等がなければ、費用は千円以内です。この際に、第2回目の剃毛の日時と照射の日時の予約を、約1ヵ月後をめどにして行います。麻酔を併用するかどうか、脱毛の範囲についての確認も同様に行います。
2回目〜5回目
1回目と同様に、あらかじめ予約をして来院していただきます。剃毛を行い(ご自身でされても構いません)、2日〜5日後に照射します。詳細については、1回目と同様です。予約日時の変更に際しては、麻酔を併用するか否かとその方法、および、脱毛の範囲についての希望に変わりがなければ電話でも承りますが、希望を変えたい場合は、ご来院ください。
6回目以降
6回目以降の脱毛処置を希望される方については、麻酔の併用を希望されるか否かで費用が異なります。
麻酔の併用をご希望の場合は、1回目〜5回目と同じ費用となります。
麻酔を希望されない場合は、レーザー照射の費用は、6回目以降の各回につき、それぞれ6,000円(消費税別)となります。
麻酔を併用する場合も併用しない場合も、その前の回の照射後来院の際に、剃毛の日時と照射の日時の予約を承ります。
ほぼ脱毛が完了後、数か月、あるいは、それ以降になって、もう一度照射を受けたい、というような場合も、この6回目以降に準じます。但し、予約に際しては、一度、ご来院いただき、診察を受けていただいてからを原則といたします。